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森へ



急に降ってきたり、晴れたり、不安定な天気でした。
そんな日は山に登るよりも、森をうろつくのにふさわしい。
森は、晴れた日よりも、霧や雨の日の方が、
光がやさしく、変化があって楽しいのです。

家の辺りはさすがに雪が消えましたが、ちょっと登った森の中には、まだまだ雪が残っています。
新緑、とはいかないけれど、ブナの緑と残雪景色は、この豪雪地帯ならではの風景でしょう。

雪がこれだけ残っていると、まだまだ自由に歩けます。
道を離れて、ヤブを避けて、上へ下へ、右へ左へ。
垂直方向への移動が宿命の登山とは違って、森の中ではまるで四次元的な動きが可能です。
さらに登山と違って森歩きは、頂上という目的地がない分、何にとらわれることがない自由な彷徨が楽しめます。

いくつかの広い台地を目指して下るうちに、細い沢に出ました。
沢沿いには花の終わったザゼンソウが葉を茂らせていました。
ヤブを避けるには残雪か、沢をたどるのがいい。
迷うことなく沢を詰めてみました。
短い急な崖地を抜けると沢は雪の下に消え、ヤブが濃い沢地形の雪渓に出ました。
ヤブの薄いところをたどると、見覚えのある標識が。
さっき通った森の入口でした。

通いなれたつもりの森で、まったく見知らぬ森を、
わずかな時間ながら行き来して、
なんとも満足して帰ったのでした。

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プロフィール

Hideki Hoshino

Author:Hideki Hoshino
北信州飯山で、薮と雪にまみれて暮らす写真家。
森に行ったり、山に行ったり、
雪堀りしたり、酒飲んだり。
あ、それから写真を撮ったり。

著書に『アルペンガイド8 剱立山連峰』『雪山放浪記』『剱人 剱に魅せられた男たち』(すべて山と溪谷社)など。

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